【完】君とは、ここまで、なんだ。
私と波留はゆっくりと歩き出した。
駅を出ると、
車道はなく、木に包まれている道がある。
私たちは、その道を歩いた。
ゆっくりと。
「ねぇ、波留。
春になったら、またこの道、桜で満開だね。」
「ん…、そうだな。」
波留は私の目を見ない。
ただ、前を向いている。
そのとき、前から風が吹いたから、
波留の染めたての茶髪がきれいになびいた。
あまりに、それが綺麗だから波留の髪を撫でたいとか思ったけど、
波留と私の身長差は頭一個分くらい差があるから、
波留がしゃがまない限りそれは無理だ。
だから私は諦めて、かわりに誉めることにした。
「波留。茶髪似合うね。」
「どうも。桜は染めないの?」
「うーん…、まだいいや。
そういえば波留は高1のときから染めたいって言ってたね。」
「ん…、そうだったな。」