my existence sense-神が人を愛す時-










「そうなんだよ!
今日は君達に御願いがあって此処まで来てもらったんだ!」



キルファがようやく本題を口にし始める。







「御願い?」


「御願い、ですか?」



二人がそれぞれに答える。
その声にキルファは彼の年齢からしたら少々幼く見えるような屈託のない笑みでコクリと頷いた。



御願い。
そう言って屈託なく笑うキルファ。

ッ。
その言葉と笑いに何故か身体の奥がゾクッと震えた。
理由は判らない。
だが何か恐ろしいものを前にした時のような寒気の悪寒がほんの一瞬だけ迸った。












「..........で、何なんだ?
その御願いって言うのはよ?」



一瞬だけ迸った謎の感覚に戸惑いほんの少し眉を顰めたバロンを横に置き、ジーザスは変わらぬ軽い笑みで言及する。


御願い。
その内容がキルファの口から紡がれようとする。

ッ。
その瞬間、また一瞬理由の判らない悪寒が迸った。








「うん。
ちょっとね、仕事を任されて欲しいんだ。君達二人に」




仕事。
その言葉に先程の悪寒の正体が少しだけ見えた気がした。

別に仕事が面倒というからでは無い。
もし彼等が一般市民のうちのその一人であったのなら何にも問題は無かった。








「仕事、ですか?」



緊張感が走った。

残念ながら彼等は巷に居るような一介の一般市民とは少々訳が違う。
彼等の様相を改めて見てみれば察することは難しくはない。








「.........."戦"、ですか?」




そうだ。
先程まで繰り広げられていた間の抜けた会話の陰に隠れて忘れていたが、彼等が身に纏うは軍服。

そう。
彼等は素晴らしい作品を創造する芸術家でも無ければ、威勢の良い声を張り上げて商いに勤しむ商人でもない。
そう、彼等は軍人だ。






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