my existence sense-神が人を愛す時-
「別に難しいことじゃない。
君達にやってもらいたいのはね、そう――――」
「.........」
キルファの言葉に二人は揃って数拍沈黙する。
ッ。
三人しか居ない部屋の中で静寂から来る耳鳴りがした。
「"神殺し"」
理由の判らなかった悪寒はこの一言を予知してのものだったのだと理解した。
ゾクッ。
今までに感じたことの無い強烈な悪寒。寒気。
言い放つその一言の衝撃。
放つ言葉とまるで正反対の無垢な笑みが一層に悪寒を増幅させる。
「神殺し........」
不吉且つ無粋過ぎる単語。
神。
それは人為らざる絶対的な存在。
人々の心を支配する信仰のその対象。
その神を敬う訳でも愛する訳でも無く、殺すと言う。
今までの歴史の中、人という分際が到底思い付くことの無かった神を殺すという発想。
「神を殺す.......。
何を言っているんですか......ははっ、冗談は止めて下さいキルファさん」
一瞬時が止まって、それからバロンが少し緊張を残したまま笑う。
まさか。
神を殺すだなんて、本気で言っている訳は無い。
だいたい唐突すぎるし微塵の現実味も無い。
達の悪いからかいか、冗談か。
........。
そう思うのが普通である。
神と言えばどの世界に置いても絶対的な存在。
皆が崇め手を合わせ祈りを捧げる救いの存在。信じ敬愛すべき存在。
信仰する神は様々だが人の中でも神を信仰する者も多い。
毎晩のように祈りを捧げ神を思う人も少なくはない。
「?
.......えぇっと、バロン?
僕は冗談なんかじゃなくて真面目な話をしているんだけどな」
「え?」
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