my existence sense-神が人を愛す時-
真面目に困った表情を見せるキルファ。
自分の発した言葉の意味が判っていない訳では無い。
だが判った上でも彼にとって先程の言葉は特別でも異常でも無く、単なる提案と御願いでしかないようで何が可笑しいのか理解出来ない様子で二人を見る。
「..........」
神殺し。
普通の人ならば口に出すことさえ躊躇ってしまうようなその行為。
人殺し。戦争。
そんな恐ろしいものよりももっと恐ろしく、どんな悪人でも戦争で幾人もの命を奪う屈強な兵士にさえも倫理に反するという意識を持たせてしまうような......云わば人が手を出してはいけない領域。
そうであるのに、このキルファという人にはそんな意識が無い。
倫理に反するという意識も、神に手を掛けるという行為に対する罪悪感も彼からは感じられない。
彼に悪気は無い。
彼に悪意は無い。
ただ―――異常だった。
「おい、キルファ」
「ん?何だい?」
キルファの異常な無垢さ。
暫く言葉を発することが出来ずに居た二人だが、数拍の間を置いてそんな沈黙をジーザスが破る。
「お前........神殺しなんてそんなもんして一体どうするつもりだ?
何処からそんな考えが湧き出た?
そんなことすりゃ戦争にならねぇ訳がねぇだろ?
先代が何百年と続いたあの戦争を終結させて国が統一された。で、ようやく国が落ち着いてきたって時に何でまた国を掻き乱そうとする?
親父さんの偉業を台無しにする気かい?」
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