my existence sense-神が人を愛す時-
そんな時代が終わりを告げたのはつい最近のことである。
ノヴェリア王国現国王キルファの即位前、キルファの父が王であった頃。
キルファがまだ皇子であった頃。
その頃は数十年数百年ごとに起こる大きな戦争のその合間でどの国も他国の様子を窺っては自国を守るために色んな場所で小さな戦争を繰り返す冷戦の時期。
またいつ起こるか判らない大きな戦争にどの国も、特に大国と呼ばれる二つの国は軍事力を強化し備えていた。
その大国の一つこのノヴェリアも例外では無い。
元々軍事大国として名を馳せていたノヴェリアは、密かに兵力を上げ武器を調達しその軍事力はどの国も恐れる程のものになった。
そして数年前のとある日、ノヴェリア先代王は動き出す。
前触れは無かった。
その日先代王は唐突に皆をを集めて戦争の開始を宣言した。
勿論皆は驚いた。
だが先代王のこの計画は何年も前から練り上げられたものであり、本当に一握りの臣下だけがそれを知らされこの為に水面下で準備を進めていた。
知られざる何年もの準備期間。
その準備が遂に整い満を持した上での宣言であった。
戦争の開始を前に集められる兵。
ノヴェリア王国中から人が集まる。
今までの戦争とは何処か違った。
徴兵の命を下している訳でもないのに、どんどん兵が集まった。
人が、民が自らこの戦争に加わることを志願した。
"この戦争は全ての戦いを終わらせる為の戦争、平和を勝ち取る為の戦争だ!"
先代王が戦争を企てた意味。
今までの戦争はそれぞれの国が己の利の為欲の為に引き起こした戦争であったが、先代王が掲げたのは平和という言葉。
戦争を終わらせる為の戦争。
もしその言葉だけであったならば、どうせそんなもの上辺だけの言葉だ。信じられる訳が無いと民の心は動かなかった。
........。
だが、民は信じた。
先代王のその言葉を信じた。
それが上辺だけの言葉ではないと信じられる現実があったからだ。
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