my existence sense-神が人を愛す時-







ブワァッ。

彼女が呟いたその瞬間、何処からか一筋大きな風が世界を吹き抜ける。
その風はあまりに強烈で彼女へと歩みを進めていた"人"は目が眩み思わず大地に膝を突く。
それでも"人"は叫ぼうとするがそれさえ風に阻まれて咳き込み項垂れた。


―――。
だがそんな風の中、何故か彼女だけは凛と大地の上に立っていた。
風は彼女の美しい淡い金色の煌めきを光に変えて撒き散らして色褪せた世界に彩りを添えた。

吹き抜ける風。
煌めく美しい光。
.......いつの間にか降り注ぐ空は止み、轟音も消えていた。

















「............貴方達を愛せてよかった」




轟音が止み静まり返った世界にはっきりと彼女の言葉が響いた。

零れ落ちたその小さな囁きは世界に生きる全ての"人"に届く。
そして勿論"彼等"にも届いた。






「ッ!」



"彼等"は風に眩む目を抉じ開けて彼女を見た。

見なければいけない。
誰もがそう思った。







ッ。

"彼等"の瞳に映る彼女はそれはそれは美しく―――笑っていた。
この世のものとは思えないくらい。
そうまるで........女神のようだった。


その美しさに誰もが目を見張った。
息をすることさえも忘れて誰もが見惚れた。










「あ........」



彼女の身体は光へと変わり一瞬のうちに弾ける。
碧翠色が美しく煌めき、その粒子は世界中に飛び散り浸透する。

壊れ行く世界。
終わり行く世界。
死にかけた世界に生命力に満ちた光が迸る。








ッ。








「..........見て下さい......空が」








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