my existence sense-神が人を愛す時-










あの日に産まれた五人の赤子。
............彼等は神として定められた運命を生き、もうすっかり大人になっていた。
神という存在を宛がわれ生きてきた彼等が初めて人に戻った瞬間だった。






ッ。

その再びの祈りが女神の眠りを呼び覚ます。
五人の神の祈り。
彼等の祈りが存在理由を失った彼女に再び生きる理由を与えた。









女神は言う。
これは女神として生を受けた自分が背負うべき責任であり使命であると。
女神である彼女はそう言い哀しそうに笑った。

本物の神が目覚めた今、その代わりとして打ち立てられた彼等の役目は終わる。
彼等はようやく無理矢理に宛て填められた運命から逃れることが出来た。







絶えることを知らない人々の祈りは、かつてのように女神の元へ。

目覚めた女神は世界が自分の手から離れても尚、全てを背負い続ける覚悟をした。
女神として永久を生きる覚悟をした。


















............。

僕等は、これでいいのかな?





........。
女神の目覚め。
神から人としての平凡な生活へと戻りほんの幾年。


五人の中に在ったのは神としての重荷から解放された喜びより、一人その重荷を背負い続ける女神への哀れみと彼女一人に背負わせることへの罪悪感。

思い返す神として生きた日々に女神の苦しみを重ね、五人は再び会し女神の元へと赴く。
その胸にある決意を秘めて。









「私達も、貴方と共に」



その言葉。
五人は女神に決意を告げる。

ッ。
人が本当の神になる瞬間。
この世界で唯一、神と人その二つの存在が溶け合った瞬間。








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