my existence sense-神が人を愛す時-
「......確かにキルファさんの見る目は本物のようです。
油断していたとはいえ全く対応出来ませんでした」
「でもさすがは将軍格ね。
昼に戦った人達は皆立ち尽くしたままだったのだけれど、ちゃんと身体が反応している。
ごめんなさい、私も少し貴方を侮っていた」
スッ。
そう言うとノウェルはナイフを退いた。
それを感じてバロンも腰の辺りで空を掴んでいた手を下げて身体の力を抜いた。
一瞬の出来事。
普通ならば騒然とするような場面であったはずなのに周りも何も動じていない。
やはり此処に居る者達は普通でないことが改めて判る。
「アハハハ、ね?彼女とっても強いでしょう?
まぁだけれど他の皆も負けてはいない。
何せ君達はこの国の、僕等人という種の先鋭。
アマレット、こう見えても彼の機械工としての腕は最高峰。緻密で繊細で正確でこれから先必ず彼のその機械工としてのそして操縦士としての腕が必要となる。
メリル、彼女はその道を行く裏の世界の者達の間では知らない者は居ないくらいの腕利き。彼女の相手の弱点を瞬時に見極める鋭い洞察力と高い戦闘能力はこの作戦に欠かせない。
カグラ、彼は無口でいつも仏頂面をしているけれどその剣技は世界の中でもずば抜けている。彼のそんな極められた剣の腕は戦を切り拓くのに必要だ。
そしてジーザスとバロン。
君達はその戦いの腕もさることながらその人格には人という種を率いて行く力が大いにある。
僕が誰より信頼している友だ、僕等が何か大きな壁にぶつかったとしても彼等のその力が打ち砕いてくれるだろう。
みんな、皆選び抜かれた者達だ。
この人選に間違いは無いよ。
皆、この世界に本当の平和を齎す希望の星だから」
ジーザス、バロン。
アマレットにメリル、カグラ。
......そしてノウェル。
キルファの視線が六人全てに向けられる。
「僕等にはやらなきゃならないことがある。
それは僕等にしか出来ないことだ。
まだ出会ったばかりで互いのことを全く知らないけれど、僕等がこうして今この場所に介しているのは運命であり宿命だと僕は思うんだ。
僕等はこれから共に偉業を成す同志」
............。
「僕等は人という種族を代表してこの世界を乱す偽りの神々を討つ。
そして解き放つんだ、世界を。
真の平和に満たされた“人”の世界へ。
だから今宵は存分に仲を深めよう。
さぁ自己紹介も済んだ事だし、皆で食べて飲んで今宵を楽しんで?
その為に設けた食事の場だからね、アハハハ」
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