my existence sense-神が人を愛す時-
バロンは自分に向けられる真っ直ぐな金色の瞳をしっかりと見つめ返した。
神殺しが世界の総意であるのか。
それが正しい道であるのか。
キルファが決起し集った者の中心。
神殺しという人のそして世界の渦中にこうして自分と同じように居るノウェルが何故そのようなことを問いたのか分からない。
どのような答えを期待したのかも分からない。
だからバロンは正直に答えた。
彼女のその問いに対しての自分の考える正直な言葉を彼女に返した。
............。
その言葉に、彼女は何も言わなかった。
「............。
貴女は、ノウェルさんはどう思っているのですか?
もし......もしも貴女が今僕等が進もうとしている道が正しくないと思うのなら身を引くべきです。
僕等は今から巻起ころうとしている巨大な渦の中心に居ます。
もしも貴女が乗り気では無いのなら引くべきです、今ならまだ間に合います。
この世界に居る以上僕等は貴女を少なからず巻き込んでしまうとは思いますが、それでも............」
「引きはしないわ」
此処でようやく口を開く。
フッと強い眼差しでバロンを見つめて。
「.......。もしあんたの言葉の通り神殺しが世界の総意であるなら世界の平和な未来を勝ち取るために踏まなければならない過程であるなら、人がそう信じるのなら私はそれを受け入れる。
引きもしない、目を伏せもしない。どんな道であってもそれが人の、世界の選んだ道であるならばそれを捻じ曲げようとは思わない。
............。
ーーー最早そのような力など今の私にはもう無いのだから私がどう思い足掻いたところで世界は何も変わりはしないのだけれど」
「ノウェルさん......?」
一気にそう述べた後にボソリと独り言のように付け足された言葉にバロンは何か得体の知れない寂しさを感じて彼女の名を呼び問い返す。
今の私にはもう。
その言葉が何故だか無性に哀しく切なく聞こえた。
ッ。
「いいえ、何でもないわ。
兎に角私も共に進む。共に戦う。たとえ相手が’’神”であっても」