my existence sense-神が人を愛す時-
タッ。
これ以上この絡みを続けると面倒になる。
長年の経験からそれを素早く察知したバロンは踵を翻して部屋の中へと戻ろうと二人を促す。
「ハッ、そうだったぜ!
今日は誰にも文句を言われる事なく酒をたらふく飲める滅多に無い機会......こうしちゃ居られねぇ!付き合えバロン!中で飲み直すぜぇっ!」
「なっ?!まだ貴方も飲むんですか?!
程々にして下さい、酔い潰れたこの図体の貴方を蹴って引きずって転がして部屋まで連れて行くのは僕なんですから!」
「......バロン、お前いつも俺の事蹴って引きずって転がしてたのか!
酔って記憶が無くて部屋で目覚ました時、決まって身体中痣だらけだったのはその所為か?!」
「記憶を無くすほど酔い潰れる貴方が悪いんです。
......さっ!ほら行きましょう?」
「ひ、ひでぇ......」
嘆くジーザスを軽くあしらってバロンは部屋の中へと戻っていく。
その後ろ姿にジーザスも嘆きながら付いて行く。
ッ。
「?
さぁ、ノウェルさんも行きましょう?」
「......えぇ」
賑やかに部屋の中へと戻っていく。
そんなやり取りをただ見つめて立ち尽くしていたノウェルをバロンは振り返り促した。
ッ。
賑やかな二人の背。
促されたノウェルもその背を追い掛けた。
............。
ガチャンッ。
バルコニーの扉が閉まる。
三人が去り誰もいなくなった月明かり照らす其処にはまた静かな夜の時間が流れていた。