大好きなのは当たり前。愛してるのは喜ばしい。~短編~

『会いたいー』

そんな内容のメールを作成して、
消す。

思わずじたばた暴れたくなるけど我慢した。

暴れたってなんら変わりない。



このメールを送れば少しは変わるかもしれない。
でも送れない。

嫌がられるかも?
拒否されるかも?

不安ばっかりだ。

付き合っていいことなんて何もない。



『カップル』

という称号しか今のところ得られてない気がする。
付き合う前は、
このカップルという称号に憧れてたのに。



今はなんか片思いの方がいいな。


「送る?送らない?」

もう何日も下書き保存したまんまのメールを見つめる。


送信ボタンに触れる。

少し力を入れればすぐに相手のもとに届く。

ボタンを押すっていう簡単な行為で、
運命が大きく変わるんだ。

「……送ろう」


何日も何日も考えた。
もう送っちゃおう。

もし、嫌がられたら


『間違えちゃった!』

って言えばいい。

送らなければ変わんない。


ね?頑張れ私。


送信ボタンを力強く押すと、
画面が変わる。

この画面みたいに私の運命も変わるかな?
なんて。


「送っちゃったよー」
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