Melty kiss
結局、僕たちは最後までダンスを楽しんだ。
彼女もダンス自体は好きらしく、言葉にしなくても一緒に踊ってて伝わってきた。
「こちらこそ。僕も楽しかったよ」
「あの…名前・・・」
「あっ、そういえばまだだったね。僕は、藤堂優斗。」
「私は、如月華恋です。今日は、優斗さんと踊れて楽しかったです。ありがとうございました。」
「僕も楽しかった。良かったら、また会おう。いつでも連絡して。連絡待ってるよ。華恋ちゃん。」
耳元で、そう囁いて華恋の手に自分の名刺を握らせた。
「顔真っ赤。可愛いね。じゃぁ、また。」
それから、華恋はなかなか連絡してこなかったけど、どうにかこうにか少しづつ会うようになった。
僕が華恋に惹かれるのに時間はかからなかった。華恋も僕の告白に顔を真っ赤にして満面の笑みで応えてくれた。
でも、僕は気付いてたんだ。華恋がまだ、時々、思いつめた表情でどこか遠くを見ていることに。
華恋が好きなのは、もしかして僕じゃなくて―――――。
優斗side回想(終)―――