Melty kiss
あの後、優斗は仕事に行くって帰ってったし、お兄ちゃんも仕事だったから何事もなく終わった。
(・・・けど、お兄ちゃん絶対機嫌悪かったよね。でも、婚約破棄ってどうして・・・)
実は、如月総一郎こと私たちのお父さんは過労で50代にして老衰状態で寝込んでいる。
(お父さんは、仕事できる状態じゃないから帰ってきたのは分かるけど婚約破棄なんて・・・お父さんは知ってるのかな。知らないはずないよね。)
「あら、華恋さん」
急に呼ばれて振り返ると、そこにはお兄ちゃんの・・・元?フェアンセの新山雅さんがいた。
「雅さん、お久しぶりです。あの・・・兄なら仕事で今はいないんですけど・・・」
すると、雅さんは上品な笑みを浮かべて言った。
「えぇ。今日はお父様のお見舞いに伺っただけですから。紘輝さんともお話ししたかったのですが、今日は帰らせて頂きますわ。また来ますね。」
「はい。わざわざありがとうございました。」
私は、雅さんと別れて自分の部屋に戻ろうと廊下の門を曲がった。・・・けど
「あらっ、紘輝さんお帰りなさい」
後ろで2人の話し声が聞こえて、思わず立ち止まってしばらく2人の会話に聞き耳をたてていた。
「雅?何しに来た」