Melty kiss

駆け引き


……………side絋輝


あれから華恋は一晩中、屋敷には戻らなかった。俺の頭には後悔しか残らず、一晩中ずっと寝付けなかった。


(あれは…華恋…)


部屋の窓から華恋がどこかのリムジンから降りてくるのが見えた。


(あの執事…東宮家の…一晩中あいつのところにいたのか)


そう考えるだけで俺は嫉妬に狂い、直ぐに玄関に向かった。

華恋が玄関に入ってきたのを確認すると俺は華恋を気付かない内に抱き締めていた。


「…お兄ちゃん?」


「心配した」


「…ごめんなさい…」


すると今度は俺が言葉を発するより先に華恋が口を開いた。


「お兄ちゃん、次の休みはいつ?」

まさか華恋にそんな事を聞かれるとは思ってなかった俺は、正直驚いた。

「今日は休みだけど…」


「じゃあ、買い物にでも出掛けよう!お兄ちゃん、いつもスーツだから。」


「あぁ。構わないけど…」


「じゃぁ、支度をしてくるから待ってて。」


(チャンスだと思って良いのか?次、2人になって我慢とか出来る自信ねぇ)


俺は急いで部屋に準備をしに行く華恋の背中を見ながらそんな事を思っていた。

そんな思いや行動が最悪の結果を招くなんて思ってもいなかった。



紘輝side(終)・・・・・・




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