Melty kiss
「来たか。林、下がってよい。優斗くん、入りなさい。」
ドアのノックで誰が来たか分かったようだった。執事の人も僕に頭を下げると、もと来た廊下を戻っていった。
「失礼します」
僕は華恋のお父さんの部屋に入った。
「よく来てくれたね。本当は私が出向かなければならないのだが…情けない話、まだ50代だと言うのに、体力が思うように続かなくてね。」
「いえ。とんでもありません。如月をここまで大きくしたのは先代と貴方だと聞いております。十分大きな仕事をなさったではないですか。ゆっくりされることも必要ですよ。」
「君は優しくて、良く出来た人間だね。華恋が惚れたのがよく分かる。」
「いえ、そんなことはありませんよ。僕は…」
(華恋を泣かせてばかりだ)
「これは、君が動いたのだろう。」