tender dragon Ⅱ

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―――――――…


【今から行きます!】


なんてメールが届いたのは、葉太からのあのメールが届いて数日がたったある日の放課後のことだった。


「えっ!?」

「どうしたの?」

驚いて立ち上がったあたしを、芽衣は不思議そうな顔で見つめている。


「あ…、いや、春斗が…」

差出人は春斗。

「春斗?何て送ってきたの?」

携帯を呆然と見つめていたあたしの横から、芽衣が顔を覗かせた。


「あらら、今から?」


メールが届いたのは今から20分も前のこと。どこから来るのかは分からないけど、もう来てるかもしれない。

…今まで連絡を無視しておいて、今さら…

会えるわけない。どんな顔して、何を話せばいいの。離れると決めたのに。


「…帰るっ」

「えっ、ちょっと美波!」

「春斗に会ったらあたしは今日休みだって言って!お願い!」

「え…」

戸惑う芽衣を置いて、カバンを持って急いで教室を出た。廊下にいるたくさんの生徒の間をすり抜けて。


そういえば思い出した。

腕のギプスがとれる、というメールが来た2日後。足のギプスもとれるというメールが来たことを。

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