tender dragon Ⅱ
何て言うか…蒼空くんはたまに鈍感なところがあると言うか…天然な部分が出ちゃうときがある。
……心臓に悪い。
あたしの手にも収まってしまうほど小さな子猫は、タオルで拭いてあげると気持ち良さそうに喉を鳴らす。
「可愛いなぁ…」
ビー玉のようなくりくりした目があたしを捉えて、ジーッと見つめてくる。
ペットが禁止なマンションに住んでるから、昔から飼ったことがなかった。
だからこうして家の中に動物がいるということが新鮮で、何だかくすぐったい。
体が暖まったからなのか、何だか眠そうであたしにすり寄ってくる。
フワフワの毛が当たってくすぐったかった。
「寝ちゃいそうだなー…」
蒼空くんが拾ってきてしまうだけあって、何をしてても可愛くてしかたない。
―ガチャ…
小さくて可愛い猫に夢中になってると、玄関が開く音が聞こえてきた。
「ただいま。」
「あ、美波さんも来てるんですね。」
「おかえりなさい。」
帰ってきたのは少しだけ濡れてる安田さんと、多分バイクで帰ってきたであろう春斗。