tender dragon Ⅱ
「ここ安田の家だぞ?」
「それお前が言うかね。」
「うるせぇ。」
一定の距離を保って近づいてこない葉太は振り返ったかと思うと、安田さんを責め始めた。
「ここペット禁止だよな?」
「まぁそうだけど、猫ならバレないだろ。」
「安田。」
「……仕方ないだろー。蒼空が勝手に拾ってきちゃったんだからさ。こんな雨の中放り出すわけにはいかないし。」
今外がどれだけ荒れてるか、葉太が一番分かってるはず。
葉太はものすごくしぶしぶだけど、納得してくれたようだった。
……いや、心の中では納得してないのかもしれないけど。
「…希龍が帰ってきたとき知らねぇぞ。」
「そうなんだよ、そこなんだよ。」
安田さんも困ったように笑う。
希龍くんが帰ってきたとき?
「あいつ俺より猫嫌いだから。」
あたしが何で?って顔をしてたから、わざわざ説明してくれた。
葉太より猫嫌い……