tender dragon Ⅱ
宣戦布告
あれはそう、たまたま暇だった蒼空くんが学校まで迎えに来た日のこと。
蒸し暑い日だった。
さくら公園のベンチに座っているだけだったのに、梅雨特有の湿気と気温のせいでジワジワと汗が滲んでくる。
「あつ…」
梅雨のくせに晴れてるし。
ほんと、暑いの苦手だ…
【来週の水曜でいいかな?】
難波くんからそうメールが来たのは、結局あれから3週間も経ったこの間のことだった。
難波くんには明日会うことになってる。
もうとっくに6月を迎えてる。
時期が悪かったのだから仕方ない。大会の日にちをズラしてもらうことなんて出来ないんだから。
「美波。」
「あ、蒼空くん。」
「帰ろーぜ。」
明日のことを考えると内心ドキドキした。
明日全てが分かるんだ。
…時間がかかった。だけど、もう待つことには慣れたから。