tender dragon Ⅱ
「あたしから秀太まで奪うつもり!?」
ヒステリックに叫ぶ土屋由佳は、目に涙をためてあたしを睨んでくる。
「話を聞くだけ。あなたが希龍くんに何て言ったのか、知りたいだけ。」
奪うつもりなんてない。
「何であなたがそんなこと…!」
あたしが何をしても気にくわないらしい。
「先に希龍を奪ったのはあなたでしょ!!」
"希龍"って呼んでるんだ。
なんて、どうでもいいことが頭の中をグルグルと回る。
「あたしの方が先に好きになったのに!!」
ねぇ、あたしだってすきなんだよ。
あなたと同じくらい、彼のそばにいたいと思ってるし、助けてあげたいとも思ってる。
「あんたなんかに絶対渡さない…!」
「希龍くんはあなたのものじゃないでしょ?」
「ずっとあたしのそばにいるって言ったもん!」
ポタポタと涙がこぼれ落ちて、彼女の頬を濡らしていく。