tender dragon Ⅱ

「あたしも、負けないよ。」

ハッキリそう言った。

すると土屋由佳は悔しそうに公園を出ていく。


……あれ、宣戦布告しちゃった?


彼女が見えなくなって、思い出す。

怒鳴り付ける彼女の涙目とか、悔しそうな顔とか、たまに見せる不安そうな表情とか。


「女ってこえー。」

「蒼空くん、聞こえてたの?」

「あれだけ声でかいと普通に聞こえるって。」


振り返ってみると、あたしとんでもないことを言っちゃったような気がする。

今さら怖くなってきた。

今までのあたしなら、あんな風に怒鳴られたあとに、絶対にあんな口聞けない。


「まぁ、美波が言わなかったら俺が言ってやろうと思ってたけど、必要なかったな。」

「…あたし結構言ってたよね。」

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