tender dragon Ⅱ
「どうしようもねぇだろ。」
負けないとか言ってる場合じゃない。
下手したら、希龍くんはもう戻ってこないかもしれないんだから。
「土屋由佳の病室に乗り込むか。」
「そんなことしたって希龍くんは帰ってこないでしょ。」
どうせまた、あの作り笑いで「帰って」なんて言われるんだから。
「じゃあ難波秀太に会いに行けばいいじゃないですか。」
「え?」
「こっちから無理矢理会いに行けば、さすがに逃げないと思いますし。つーか、逃げるようなやつじゃないですよね。」
難波くんに会いに?
単純なことなのに、どうして一度も考えなかったんだろう。
確実に難波くんがいる、難波くんが通ってる学校に行けばいい。
優しいからきっと、あたしを追い返すようなことはしないだろう。
「俺送っていきますよ。」
「ごめん、ありがと!」
ほんとは会う予定だった明日、あたしから難波くんに会いに行こう。