tender dragon Ⅱ
「えっ、川原…?」
来るはずのないあたしがいるから、難波くんは心底驚いていた。
だけどいつもと同じように、駆け寄ってきてくれる。
「ごめんね、こんなとこまで来ちゃって…」
「いや…」
やっぱり理由があるらしい。
どこかよそよそしいから、きっとあたしと会うなと"誰か"に言われてるんだろう。
誰か、なんて予想できてるけど。
「話がしたいの。」
お願い難波くん、逃げないで。
「…ごめん、俺からは何も話せない。」
何て言われたんだろう。
いつもなら決して断るはずがないのに。
「難波くんにしか聞けないの。」
うつ向いたままあたしを見ない姿は、いつもの彼からは想像できないくらい弱気だった。
「お願い…」