tender dragon Ⅱ

「話してくれなきゃ、助けられないの。」

「え?」

もう難波くんしかいないの。


「希龍くん、楽しそう?」

難波くんの顔が歪んだ。

「…だから…」

「そんなことも話せないって言うのっ?」


空がゴロゴロと鳴り出す。

梅雨特有の湿気た空気が体を包んだ。


「希龍くんがどんな人か分からないからそんなこと言えるんだよ…!」


ポツリ、ポツリ、雨が降ってくる。

きっとこの調子だと荒れた天気になるだろう。

だけど、そんなこと気にしてられないほどに、腹が立っていた。


「あの子が何言ったのか知らないけどっ、少なくともあたしが見た希龍くんは笑ってなんかなかった!」

< 143 / 198 >

この作品をシェア

pagetop