tender dragon Ⅱ
「話してくれなきゃ、助けられないの。」
「え?」
もう難波くんしかいないの。
「希龍くん、楽しそう?」
難波くんの顔が歪んだ。
「…だから…」
「そんなことも話せないって言うのっ?」
空がゴロゴロと鳴り出す。
梅雨特有の湿気た空気が体を包んだ。
「希龍くんがどんな人か分からないからそんなこと言えるんだよ…!」
ポツリ、ポツリ、雨が降ってくる。
きっとこの調子だと荒れた天気になるだろう。
だけど、そんなこと気にしてられないほどに、腹が立っていた。
「あの子が何言ったのか知らないけどっ、少なくともあたしが見た希龍くんは笑ってなんかなかった!」