tender dragon Ⅱ
難波くんを責めるのは間違ってる。
責めるべき相手は他にいるのに、どうしても怒りを抑えることができなかった。
「作り笑いしなきゃなんないほど辛い思いしてるのに、何で分かんないの!!」
でも一番ムカつくのは、自分自身。
どうしてもっと早く動けなかったんだろう。
連絡がないとか、会いに来てくれないからとか、自分は何もしないで待ってただけなの。
「希龍くんは優しいから、何言われたって受け入れるに決まってる…っ」
頬を伝っていくのが涙なのか雨なのか分からなくなってしまった。
降り続ける大粒の雨はあたしの体も、難波くんの体も徐々に濡らしていく。
「辛くても我慢するにきまってるじゃん…っ」
こんな難波くんの表情見たことない。
悲しそうな、悔しそうな顔。
いつも笑ってる爽やかな難波くんの面影なんて、今はもうどこにもない。