tender dragon Ⅱ

「美波さん、帰りましょう。」

門の近くで待っていてくれた春斗が、あたしの手を引いて静かにそう言った。


…やっぱり、ダメなの?

あたしじゃダメだった?

"負けない"なんて言ったのに、さっそく負けちゃってるじゃん。


「……話すか話さないかはあんたが決めることだと思うし、事情があるみたいだから責めるつもりはないけど…」

春斗はまっすぐ難波くんだけを見て


「うちのトップは必ず返してもらうから。」


自信があるようにそう言った。


希龍くんに帰ってきてほしいと思ってるのはあたしだけじゃない。

…それは龍泉のみんなが思ってること。

それを考えるとやっぱり何だか悔しくて、涙が溢れて止まらなかった。

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