tender dragon Ⅱ

「難波くん!!!」

慌てて飛び起きて、電話に出る。


「もしもしっ?」

『あ…川原?ごめんな、いきなり。』

「ううん、大丈夫。難波くん学校は?」

『抜け出してきた。』

「何で…?」

『……川原と話をしようと思って。』

ずっとずっと期待していた言葉が、難波くんの口から発せられた。


『今から会えるかな?』

熱があることなんてもうどうでもよくなった。

「うん、会えるよ。」

『じゃあ、西高の近くのカフェで待ってる。』

「分かった!」


スッピンだってことも、制服じゃないってことも気にならないくらい急いだ。

今まで家にいたのがすぐにバレてしまう。

難波くんはきっと、あたしが学校にいると思ったから西高の近くのカフェで待ち合わせたんだろう。

……あのカフェには何かと縁がある。

嫌な思い出ばかりだけど。

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