tender dragon Ⅱ


久しぶりに走った。

ジロジロ見られたけど、そんなこと気にならないくらい必死に走った。


これだ。この感覚。

あたしがこうやって積極的に動けるのは、いつだって希龍くんが関係していたから。

あたしを守ってくれた彼を、今度はあたしが守ってあげる番だから。


「っはぁ……はっ…」

額に汗がジワリと滲む。

頭がクラクラしてきた。


……熱があるときに走るもんじゃないなぁ…


―カランコロン…


ドアを開けると、彼はいた。

何か考えているんだろう、眉間にシワが寄ってるし、あたしの存在にも気づいてない。


「…難波くん…」

あたしが声をかけると、やっと気づいた。

そしてあたしを見て、驚く。

< 153 / 198 >

この作品をシェア

pagetop