tender dragon Ⅱ
久しぶりに走った。
ジロジロ見られたけど、そんなこと気にならないくらい必死に走った。
これだ。この感覚。
あたしがこうやって積極的に動けるのは、いつだって希龍くんが関係していたから。
あたしを守ってくれた彼を、今度はあたしが守ってあげる番だから。
「っはぁ……はっ…」
額に汗がジワリと滲む。
頭がクラクラしてきた。
……熱があるときに走るもんじゃないなぁ…
―カランコロン…
ドアを開けると、彼はいた。
何か考えているんだろう、眉間にシワが寄ってるし、あたしの存在にも気づいてない。
「…難波くん…」
あたしが声をかけると、やっと気づいた。
そしてあたしを見て、驚く。