tender dragon Ⅱ

「何それ…」

「普段だったらそんなこと言われても何とも思わないけど、でも……」

…彼女は一度やってるから。

また同じことがあるんじゃないか、って。


「…幼なじみだから、そんなこと言えば俺がどうするか想像できたんだろうけど…」

彼女の嘘だと分かっていても、怖かった。

あたしが難波くんの立場だったら、きっと同じことをしただろう。


「川原、俺は全部分かってるわけじゃないから、これは予想だけど…」

うつ向いていた顔をあげて、しっかりとあたしの目を見た。


「由佳、多分神岡にも同じこと言ってる。」

「…同じこと…?」

「"傍にいてくれないとまた自殺しちゃうかもしれない"って。ハッキリ聞こえたわけじゃないから、まだ分からないけど。」


それはもう、きっと希龍くんにとっては悪魔の囁きのような言葉。

……希龍くんが帰ってこない理由だ。

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