tender dragon Ⅱ
きっとそのときはあたしに敵意なんて持ってなかったんだろう。
ただの、難波くんの同級生くらいにしか思ってなかったはず。
「…川原の名前出したとたん、神岡が分かりやすく反応したから。多分由佳もそれで気づいたんだと思う。」
涙が出そうになるのを、必死で我慢する。
泣いてる場合じゃない。
「…神岡は川原のこと好きなんだなって。」
本人に聞いたわけじゃない。
ほんとにそうなのか分からないのに…
…どうしよう、嬉しいよ。
「…神岡のこと助けてやりたいんだよな?」
喋ると涙が出てしまいそうだったから、その代わりに必死に頷いた。
…助けてあげたい。
「だったら行こう。」
「え…?」
どこに行くの?
難波くんは真剣な顔だったけれど、それでも少し言いづらそうに口を開いた。