tender dragon Ⅱ
君に会いに行く
頭がクラクラした。
辛そうな顔をしたら、きっと難波くんは心配するからそんな顔を見せらせない。
立っていられないほどじゃない。
だけど顔を見られたらバレるような気がして、難波くんと目を合わせられなかった。
「503号室…」
難波くんが教えてくれた病室はまだ覚えてた。
【土屋由佳】
彼女の名前。
「由佳、入るよ。」
「あ、秀太。どうしたの……」
難波くんの後ろにいたあたしを見て、笑顔だった土屋由佳の表情が変わっていく。
「会ったの。」
難波くんを睨み付ける彼女の目には、怒りだけじゃなく、悲しみも含まれてるように見えた。