tender dragon Ⅱ
「由佳っ」
「秀太なんて嫌い!!帰ってよ!!」
そんな言葉を聞きたかったわけじゃないのに。
難波くんを傷つけるためにここに来たわけじゃないのに。
「…お前ほんとに幸せなの?」
悲しそうにポツリと呟いた。
狂わせてしまった。
仲のいい幼なじみだったはずなのに、2人の関係が崩れていく。
「っ…幸せだもん…」
小さな声で何度も「幸せだもん」と呟く彼女の表情は、今にも泣き出してしまいそうだった。
決意してここに来たのに、何て声をかけていいのか分からない。
以前会ったときと雰囲気が変わってたから。
―ガラッ…
突然開いた病室のドア。
同じ病室の患者さんが戻ってきたのかな、なんて思いながら振り返る。