tender dragon Ⅱ

「嘘なんてつかないよ。」

「倒れるくらい辛いくせに!」

「…辛くないよ。」

なんて、また嘘をつく。

あたしじゃ彼を助けられないのか。

そう思うと悔しくて涙が出た。


「泣かないで。」

悲しそうな希龍くんが、笑う。

「ダメなんだよ…」

何がダメなの?


「…美波が泣くとどうしていいのか分からなくなるから…」

そんなこと言わないで。

助けさせてくれないくせに、何でそんな風に期待を持たせるようなこと言うの?


「頼むから…泣かないで」

だったらあなたが止めてよ。

前みたいに、涙を拭ってよ。

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