tender dragon Ⅱ

「村上結衣って、神岡の幼なじみだよな。」

どうして難波くんが知ってるんだろう。

…結衣はそんなこと言ってないはずなのに。


「ねぇ、それ誰…?」

黙っていた土屋由佳が口を開いた。


「由佳と村上を重ねんな。こいつは絶対自殺なんかさせない。俺が約束する。」

「秀太っ、何言ってんの!」

「由佳がいなくなったら俺がお前と同じ思いするから……だからここにいるんだろ?」

「秀太!!」


同じ、思い…?

幼なじみがいなくなる辛さ?

大切な人が…小さい頃からずっと一緒にいた、当たり前だった存在がいなくなってしまう。

……希龍くんは一度経験してた。


「どれだけ辛いか知ってるからだよな?」

難波くんは何もかも見透かしてる。

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