tender dragon Ⅱ

希龍くんは知ってるよね。

怖くて、辛くて、先が見えなくて、どうしようもなく不安になるの。

希龍くんも同じだったはず。


「やめて!!」

「…由佳、神岡も川原も俺も、生きたくても生きられなかったやつを知ってるんだよ。」

難波くんはうつむいていた顔をあげて、土屋由佳の手首を掴んだ。


「簡単に死ぬとか言うな。」


この子は残されてしまった人間のことを考えたことがあるのかな。

……どれだけ辛いか、分からないかな。

難波くんがどんな思いで…

「簡単に言ってない…!」

あなたを止めてるか分かる?


「希龍が傍にいてくれないなら、死んだ方がマシだもん!!」

あなたが難波くんにとって大事な人だから、こんなに必死になってるんだよ。

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