tender dragon Ⅱ

「川原、お前…」

頭がクラクラする。

もう、自分の体を支えるので精一杯だった。

「…死んだら、何も出来なくなるよ…っ」

土屋由佳も泣いていた。


グラリ、と視界が歪む。

熱があるのに走って、怒鳴って、泣いて…って、病人がすることじゃなかった。

…もう、限界…


「川原…っ」

難波くんの焦った顔が見えた。

倒れちゃう、なんて思ったけど、もう自分の体を支える力も残ってなかった。

とっさにギュッと目を瞑る。


だけど、いくら待っても体は床にぶつからないし、痛みも全く感じなかった。

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