tender dragon Ⅱ

「大切に思ってくれてるやつがいるから。」

難波くんのこと?

希龍くんの言葉に難波くんは優しく笑って、彼女の頭をポンッと撫でた。


「…由佳、もういいだろ?」

難波くんのその言葉に、泣き出してしまった。

「俺が傍にいてやるから。」

泣いてる彼女を抱き締める姿は、やっぱりいつもの優しい難波くんだった。


それを見て、希龍くんはあたしを抱えたまま何も言わずに病室を出た。


「希龍くん…っ、もう降ろして…」

熱があるとはいえ、意識はある。

お姫様だっこなんて注目の的だった。


「送ってくから。」

久しぶりに会話してる。

こんなに近づいたの、いつぶりだっけ?

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