tender dragon Ⅱ
「希龍くんも病人なんだから…っ」
「大丈夫。」
何を言っても離してくれそうになかった。
助けてあげられたのかな?
「倒れたって…」
「ただの疲労だよ。」
やっぱり、倒れるくらい辛かったんだ。
あんなにのんびりしててマイペースな人が、急に人に付きっきりなんて。
「あたし大丈夫だから…」
「ダメ、大人しくしてて。」
あんまり堂々と歩くから、みんな彼のことを病人だと思ってないみたい。
看護師さんは止めないし、当たり前のように病院を出れてしまうんだから。
近くに停まってたタクシーに乗せられたとき、やっとお姫様だっこから解放された。
「寝てていいよ」
「大丈夫、ちょっと楽になったから…」
なんて言ったものの、昼に飲んだ薬の影響が出たのかもしれない。
心地よく揺れるタクシーの中で、いつのまにか眠ってしまっていた―…