tender dragon Ⅱ
また頭がクラクラした。
「部屋どっち?」
「あ…左の…」
難波くんから電話があって、自分でもビックリするくらいのスピードで家を出てしまった。
当然、鍵も閉めてなかった。
…ほんと、危ないな。
―ガチャ…
「ごめんねっ、重かったでしょ…?」
希龍くんは大事なものを扱うようにベッドの上に下ろしてくれた。
「はは、全然。美波はもっと食べた方がいいよ」
なんて言って頭をポンッと撫でる。
久しぶりに笑いかけてくれた。
作ってない、ほんとの笑顔。
…その顔が見たかったんだよ。
「…また泣きそうだね。」