tender dragon Ⅱ
泣いちゃダメ。
希龍くんはあたしが泣くとどうしていいのか分からなくなるんだから…
だけど、止める術を知らない。
もう戻ってこないかもしれないと思っていた彼が、あたしに笑いかけてくれてるんだから。
「俺のせいだよな…」
だからこれはね、嬉し涙だよ。
「難波の言う通りだよ。」
確かに希龍くんのことではあるけど、悲しいから泣いてるんじゃない。
「…美波を泣かせてんのは、いつも俺だもんな」
そんなに悲しそうな顔しないで。
「だけど…」
希龍くんはうつ向いてポツリと呟いた。
暖かいあたしの手と、もっと暖かい希龍くんの手が少しだけ触れ合う。
「美波が泣く理由も笑う理由も、いつでも俺であってほしいんだ。」