tender dragon Ⅱ
「希龍がね、帰ってきたよ」
あたしの手を引いて、笑顔で言う。
「…うんっ」
あれから希龍くんには会ってない。
やっと熱が下がったばかりだから、会えるような状態でもなかった。
…だからあのとき言ったことの返事も、まだ聞けないまま。
ほんとに言ったのかも怪しい。
夢だと言われればそんな気もするし、ちゃんと希龍くんに向かって言ったような気もするし…
「葉太も春斗にも会いに行ったみたいだよ」
「そっか…」
目に浮かぶ。
希龍くんを見て騒ぐ春斗と、春斗を落ち着かせようとする葉太の姿が。
「ありがとね、美波。」
「え…?」
「美波のおかげだよ」