tender dragon Ⅱ
「それ、まだつけてるんだね」
相変わらずブサイクなウサギ。いつ見たって、何度見たって、お世辞でも可愛いとは言えない。
「ブサイクですけど、ずっとつけてると愛着ついてくるもんなんですよ」
色褪せてるのに、外そうとしない。
「ただのジュースのおまけだよ?」
「いいんですよ、おまけでも」
綺麗なピンクだったそれは色褪せて薄ピンクになってしまっていて、片腕が取れてしまっていた。
「あ、でもウサギですからね。最初は散々バカにされましたけど」
「葉太、とか?」
「やっぱ分かりますよね。葉太さんこれ見てバカみたいに笑ってて、誰から貰ったんだ、って。」
「あたしだって言ったの?」
「はい。美波さんから貰いましたって自慢してやりました!」
確かに高校生男子がウサギのキーホルダーなんて、ちょっと可愛すぎるっていうか。
これは春斗だから似合うだけ。童顔で優しくて可愛い春斗だから。
こんなの葉太とか安田さんがつけてたら、あたしだって笑っちゃう。あたしだけじゃなく、きっとみんな笑うはず。