tender dragon Ⅱ

「そしたら葉太さん、急に黙って。"ほんとは可愛いと思ってたし"って言うんですよ。」

「あははっ、何それ!」

「他の面子も美波さんからだって知った途端に、こんなにブサイクなのに可愛いって言い出しましたよ。」

「ジュースのおまけなのにねっ」


さっきまでの暗い雰囲気はあっという間に消えていて、以前と変わらない春斗との会話が続いた。

それはきっと、春斗が気を遣っていつもと同じように接してくれているから。


「ボロボロになっちゃってるね。」

「ずっとつけてますから、仕方ないですよ。」

「新しいのあげたいんだけど、そのジュースのキャンペーン終わっちゃったみたいで。どこ探してもないんだよね。」


あれって何のキャンペーンだったんだっけ?

お正月?バレンタイン?

…………あ、クリスマスだっけ?


そっか、そうだそうだ。クリスマスだった。


クリスマスのキャンペーンだったけど、ブサイクだったからおまけなのに売れ残って。

クリスマスを過ぎてもずっと置いてあった。

おまけがついてないジュースは売れていくのに、ついてるジュースは売れないから、店員さんが外して新しいジュースにつけかえてるのを見た。

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