tender dragon Ⅱ
「……あ…」
隣にいた芽衣がポツリと声を溢した。
「何?どうしたの?」
「あれ…」
芽衣が指差すのは人だかり。
誰が来てるのか分かったんだ。
「誰が来てるの?」
あたしの位置からは見えなかったけど、近づくにつれてその姿が見えてきた。
女の子たちの隙間から見えた。
「え……」
男にしては少し小さい身長。
ポケットに手を入れて、門の近くに寄りかかって立っていた。
見覚えのある髪色に、綺麗な顔。
女の子たちの視線を独占していた。
心臓が今までとは比べ物にならないくらい強く波打って、息を飲んだ。
「あ、やっぱり蒼空だ。」
芽衣がポツリと呟いた。
そこにいたのは蒼空くん。
「蒼空、くん…」
芽衣の口から名前が出て、少し心臓が落ち着いた。どうしてあんなに動揺してしまったのか、あたしには分かってる。