tender dragon Ⅱ
………蒼空くんが希龍くんに見えたから。
…背だって蒼空くんの方が低いし、髪色だって全く違うのに。顔が似てるから、一瞬見間違えた。
「今日は蒼空ってわけね」
芽衣は呆れたようにため息をついて、早歩きで蒼空の元へ向かった。
「ちょっ、芽衣!?」
少しだけ怒っているように見えた。
「…蒼空」
女の子たちを掻き分けて進んでいく芽衣に慌ててついていくと、芽衣は蒼空くんの腕をガッシリ掴んだ。
「何だ、芽衣か。」
蒼空くんは少し驚いた顔で芽衣を見ていて、壁に寄りかかっていた体を離した。
「遼太なら来てねぇよ。」
「分かってる。」
「じゃあ何だよ。」
「誰に頼まれてきたの?」
あたしもそれは思っていた。
毎日毎日誰かが入れ替わりで来るなんておかしいし、きっと誰かに頼まれて来てるんだろうな、って。