tender dragon Ⅱ
「4日も携帯見ないわけないよな。」
わざと返さなかったのがバレてる。
でも何だか、返さなかった理由まで見透かされてるようで怖かった。
「……そんなに会いたくなかった?」
何も言わないあたしに、優しくそう言った。
やっぱり何もかも気づいてる。
数ヵ月前まで中学生だった蒼空くんの面影はない。もともと大人びていた彼が、いつの間にかこんなにも大人になっていた。
「…どうしてそんなこと聞くの?」
どうにかして話をそらしたかった。
あんなに助けてもらったのに会いたくないだなんて、自己中にも程がある。
「イラついてるから。」
彼によく似ている瞳は真っ直ぐあたしだけを見ている。反らしたいのに、何故か反らしてはいけない気がして。
蒼空くんが言った言葉に、心臓を貫かれたような痛みが走った。
そうか、イラつかせてるのか。
そんなに面倒な存在なのか。