tender dragon Ⅱ
帰ってこない上に何をしてるのか分からない。そんな状況がずっと続いていた。
毎日安田さんの家に行ってみるけど、いるのはいつも葉太だけ。今日もそうだった。
「希龍、あたしにも連絡してこないの」
「そうなんだ…」
どこで何をしてるんだろう。
あのとき、すぐに何があったのか聞けばよかった。気づけたはずなのに。
希龍くんの様子が変だったことは、分かってたのに、聞けなかった。
「帰ってきたらすぐに連絡するから」
「うん…、ありがとね」
聞けなかった結果がこれ。
全てが終わったら聞いてほしいことがある。
そう言ったのは希龍くんだったのに。あたしは待っているのに、どうしてだろう。
期待するべきじゃなかったのかな。
「じゃあ、あたし帰るね…、また明日」
明日から新学期が始まる。
このまま新しい生活が始まるのが怖かった。
だって、ここにいる理由…
あたしが、ここに来る理由がない。
今までここに来てたのは、狂羅から守ってもらうため。1人にならないため。