tender dragon Ⅱ
「好きなのに何で離れようとするんだよ。」
何でって。
「だって会いたくても会えないんだもん…!」
あたしから離れたわけじゃない。
会いたいと思っていても、彼がいないなら全く意味ない。
「何だよそれ…」
うつ向いた蒼空くんはそうポツリと呟いた。
あたしから見ても分かるくらいに手を握りしめてる。
怒ってるのが分かった。
「会えない?ふざけんな。」
いつも優しい蒼空くんが。
「会えないっていうのはなっ、相手がもう二度と会いに行けない場所にいるときのことを言うんだよ!」
二度と、会いに行けない場所…
その言葉が何を意味するのか、何となく分かってしまった。
…もうこの世には存在していない人。
二度と会えないし、二度と触れられない。