tender dragon Ⅱ
壊れそうな彼
蒼空くんはあのあと、分かったら連絡すると言ってあたしを家まで送ってくれた。
あの日から、いつ連絡が来るだろうとドキドキしながら過ごしてる。
…安田さんの家には戻れてないけど。
葉太や春斗から来るメールも今だに一通も返せていない。
逃げてない、と言えば嘘になる。
急にのこのこと戻れる程、度胸のある人間じゃないことは自分が一番よく分かってる。
………また、言い訳だ。
今日は春斗が言ってた火曜日の放課後。
あたしが安田さんの家にカーディガンを取りに行くと約束した日。
1ヶ月くらい前まで毎日通っていたこの場所も、久しぶりに来るとやっぱり入るのを躊躇してしまう。
誰もいないというのは分かってるんだけど、ものすごく勇気がいる。
「ここだ…」
カーディガンを持って帰るだけ。