tender dragon Ⅱ
「……ごめんなさい…っ」
謝ることしか出来なくて、葉太の顔を見ることが出来ない。
「……何で謝るんだよ。」
小さな声で呟いて、あたしの頬を両手で包んで上を向かせた。
「俺怒ってねぇよ。」
「え?」
怒ってると思った。
何でメール返さないんだって。何で来ないんだって。怒ってもいいのに。
「久しぶり。」
葉太は以前と変わらない、無邪気な笑顔であたしを出迎えてくれる。
「元気にしてた?」
何も言わないあたしを見て気を遣ったのか、葉太は1人で一方的に喋り続ける。
元気だったよ。
メール返さなくてごめんね。
そう言いたかったのに、涙が溢れて言えなかった。すると葉太は手を離してくれた。
「泣くなよー。」
泣いてるのは、葉太が優しいから。
でも、それだけじゃない。
やっぱり葉太を見ると彼のことを思い出してしまうから。そんな自分がどうしようもなく嫌だから。